鉄道マニアのこじらせ話

鉄道好きも知ってるようで知らない、そんな鉄道の技術をわかる範囲でご紹介したいと思っているブログです。もちろん、それだけではネタが尽きるので、鉄道技術や鉄道以外のお話もさせていただきます。

鉄道技術「第6回 界磁チョッパ制御」

抵抗制御をベースに発展していった制御方式の紹介として、まず一番最初に界磁チョッパ制御についてご紹介いたします。


ベースとなるのは電動カム軸方式の抵抗制御です。
抵抗制御って何?と言う方は第5回の投稿をご覧ください。
界磁チョッパ制御とは、電動カム軸によって電機子電流につながる回路上(主回路)の抵抗をすべて短絡した後に本領を発揮します。
抵抗をすべて短絡した後、さらに電車を加速されたい場合は更に逆起電力を抑えなくてはなりません。
(第4回の投稿も参考にしてください)
そのためには界磁電流を弱めることでさらに加速させることができます。
この界磁電流をチョッパ装置を使って制御する方式が界磁チョッパ制御です。
チョッパとは直流の電圧を理論上無損失で直流のまま直接昇圧降圧させることのできる装置です。

チョッパによって界磁電流を弱めれば加速、強めれば減速になるわけですが、この中間に加減速しない部分も存在することにお気づきかと思います。
加減速しないように界磁電流を調整してあげることも可能で、これを『0A制御』と呼びます。
主回路を構成しつつも電機子電流に流れる電流を0Aになるように制御してあげます。
非常に不思議な状況ですが、界磁電流を調整し電機子にかかる電圧(≒架線電圧)と逆起電力によって生じる電圧が一致させるとこのようなことが可能なのです。
主回路を構成したまま界磁電流を調整させるだけで加減速可能なので、ハンドルの応答性が抜群にいいことが特徴として挙げられます。
ただし、この0A制御には条件があり、先に書いた通り主回路上の抵抗をすべて短絡し、界磁電流をチョッパで制御している時にしかできません。

また界磁チョッパ制御を使うには電動機が複巻電動機となり電動機の構造が複雑になります。
複巻電動機とは、界磁を発生させる部分が主回路に直列に組み込まれている部分と主回路と独立した部分の2つの回路で構成されている電動機のことを言います。
チョッパで制御する部分は後者の主回路と独立した部分となります。
ちなみに・・・
界磁を発生させる部分が主回路に直列に組み込まれている部分のみの電動機は直巻電動機、界磁を発生させる部分が主回路と独立した部分のみでできている電動機を分巻電動機と言います。

界磁チョッパ制御は以上のようなものになります。
次回以降も界磁電流の制御方法についてご紹介したいと思います。